乳房インプラント
よく聞かれる質問と回答(2006)
乳房インプラント
よく聞かれる質問と回答(2006)
米食品医薬品局(FDA)ホームページより翻訳
<http://www.fda.gov/cdrh/breastimplants/qa2006.html>
<乳房インプラントの一般的な情報>
- 乳房インプラントとは何ですか?
- FDAの認可を受けているのはどのタイプですか?
- 乳房インプラントはどのように使われますか?
- 乳房インプラントを入れるには年齢制限はありますか?
- 生理的食塩水乳房インプラントとシリコンジェル乳房インプラントをつかう豊胸術とで最低年齢が違うのはどうしてですか?
- 乳房インプラントの治験は現在でも行われていますか?
- どうすれば治験に参加できますか?
- 乳房インプラントの危険性はどのようなことですか?
- 乳房インプラントはどのくらいもちますか?
- 乳房インプラントが破裂したらどうなりますか?
- 乳房インプラントが破裂したら自分ではどのように気付きますか?
- 乳房インプラントが破裂したら取り出さないといけないのですか?
- 乳房インプラント内のプラチナは身体に害を及ぼしますか?
- 乳房インプラントを入れるかどうかを決める際にどのようなことを考慮しなければいけませんか?
- “gummy bear(グミ)”ジェル乳房インプラントとは何ですか?
- 乳房インプラントの不具合はどのように報告すればよいですか?
- どこで、そしてどのようにシリコンジェル乳房インプラントの有害事象報告を読むことができますか?
- なぜ企業は乳房インプラント個々のMedical Device Reporting (MDRレポート)ではなく要約報告を保存するのですか?
- 乳房インプラント製造会社に対してFDAではどのような指導をしていますか?
<認可シリコンジェル乳房インプラントの詳細>
- FDAがアラガン社とメンター社の製造するシリコンジェル乳房インプラントを認可した時の基準は何ですか?
- メンター社とアラガン社製のシリコンジェル乳房インプラントを移植できるのはどんな人ですか?
- コア研究で最もよく起こった、アラガン社とメンター社製のシリコンジェル乳房インプラントの合併症は何ですか?
- コア研究では、破裂の割合やその時の身体への影響についてどんなことがわかりましたか?
- FDAはインプラントをどのような条件で認可したのですか?
- シリコンジェル乳房インプラントが安全なものなのであれば、なぜ広範囲にわたる認可後調査を要求しているのですか?
- もし認可後調査で、認可前にわからなかった問題を発見したらどうするのですか?
- FDAはアラガン社とメンター社が認可後調査をきちんと遂行しているかをどのように保証するのですか?
乳房インプラントは、豊胸又は乳房再建のために、乳房組織あるいは胸の筋肉の下に移植する医療用具です。生理食塩水、またはシリコンジェルを用いた、主に二つの種類があります。生理食塩水乳房インプラントはシリコンバッグに生理食塩水があらかじめ入っているものと、手術中に生理食塩水の量を調整できるタイプのものがあり、中には手術後も内容量を増減できるものもあります。シリコンジェル乳房インプラントはシリコンバッグにシリコンジェルがあらかじめ入っているものです。乳房インプラントには、かたち、サイズ、バッグ表面(スムース・テクスチャード)も様々な種類があります。
FDAは次の4タイプの乳房インプラントに対し、アメリカでの使用を認可しています。
・ 2000年5月 メンター社とアラガン社(前イナメド社)の製造する生理食塩水乳房インプラントが認可を受けました。これらは、18歳以上の女性対象の豊胸用、そして全年齢の女性対象の乳房再建用として認可されました。
・ 2006年11月 アラガン社とメンター社の製造するシリコンジェル乳房インプラントが認可を受けました。これらは、22歳以上の女性対象の豊胸用、そして全年齢の女性対象の乳房再建用として認可されました。
Cohesiveインプラント(gummy bear:グミ)など、この4タイプ以外の乳房インプラントはまだ研究が必要であるとされています。アメリカで研究中のインプラントを移植した場合、治験に協力しなければいけません。
乳房インプラントは下記のように使われます。
・ 初回豊胸術(美容の目的で胸のサイズをアップする)
・ 豊胸術後の修正(豊胸術後の修正手術や改善手術)
・ 初回乳房再建術(がんや外傷のため乳房組織が除去されてしまったときの代替、または胸が正常に発育しなかった場合の代替)
・ 乳房再建術後の修正(再建術後の修正手術や改善手術)
- 乳房インプラントを入れるには年齢制限はありますか?
年齢制限は下記のとおりです。
・ メンター社とアラガン社(前イナメド社)の製造する生理食塩水乳房インプラントは、
- 乳房再建術(初回・修正)・・・全年齢
- 豊胸術(初回・修正)・・・18歳以上
・ メンター社とアラガン社(前イナメド社)の製造するシリコンジェル乳房インプラントは、
- 乳房再建術(初回・修正)・・・全年齢
- 豊胸術(初回・修正)・・・22歳以上
若い女性の胸は10代後半から20代前半まではまだ発育途中であること、そして若い女性が危険性を伴うことを十分に理解して豊胸の決断をするには早すぎることから、FDAでは豊胸術の最低年齢を設定しています。しかし、若い女性でも、がんや外傷のため乳房組織が除去されてしまったときの代替、または胸が正常に発育しなかった場合の代替として選択できるよう、乳房再建用のインプラントの使用には年齢制限がありません。
販売が許可されていないインプラントの移植に関しては、治験の一部として年齢設定や、その他の規制があります。詳細は企業にお問い合わせください。企業へのアクセスの仕方はこちらをご覧ください。
<http://www.fda.gov/cdrh/breastimplants/addsources.html>
- 生理食塩水乳房インプラントとシリコンジェル乳房インプラントをつかう豊胸とで最低年齢が違うのはどうしてですか?
FDAは豊胸用生理食塩水乳房インプラントを18歳以上の女性に、そしてシリコンジェル乳房インプラントを22歳以上の女性に承認しています。この2タイプでは危険性が異なるため、最低年齢が異なります。例えば、シリコンジェル乳房インプラントは移植後無症候性の破裂(患者さん自身や医師では発見不可)を発見するために頻繁にMRIの検査が必要です。生理食塩水乳房インプラントには無症候性の破裂が起こる恐れはありません。また、生理食塩水乳房インプラントが破裂した場合とシリコンジェル乳房インプラントが破裂した場合では身体への影響も異なります。
- 乳房インプラントの治験は現在でも行われていますか?
生理食塩水乳房インプラントやシリコンジェル乳房インプラントの治験(IDE申請:研究中医療用具の安全性と有効性を調べるための、治験目的での使用申請)は現在も行われています。メンター社やアラガン社(前イナメド社)の製造するCohesiveシリコンジェル乳房インプラントや、その他のメーカーの商品でも研究が行われています。これらのインプラントは研究中のため販売の許可は下りていません。
また、メンター社とアラガン社はシリコンジェル乳房インプラントがFDAの認可を受けてからも、患者への研究を続けています。
治験への参加の仕方は、研究が行われている企業にお問い合わせください。こちらで問い合わせ先をご覧ください。
<http://www.fda.gov/cdrh/breastimplants/addsources.html>
- 乳房インプラントにはどのような危険性がありますか?
代表的なものは下記のとおりです。
- 修正・追加手術の必要性、インプラントを除去する場合もある。
- 被膜拘縮(インプラント周囲の硬化)
- 胸の痛み
- 乳首や胸の感覚の変化
- 生理食塩水乳房インプラントの水分もれを伴う破裂
- シリコンジェル乳房インプラントの徴候または無徴候破裂
- シリコンジェル乳房インプラントのシリコンの移動
その他の乳房インプラントの危険性と合併症については、FDA乳房インプラントホームページ上、乳房インプラント患者様用ハンドブック:局所の合併症と追加手術
(Breast Implant Consumer Handbook: Local Complications and Reoperations)をご覧ください。
また、認可されたそれぞれの乳房インプラントの合併症のリストは、患者用商品詳細説明書で見ることができます。
<http://www.fda.gov/cdrh/breastimplants/labeling.html>
乳房インプラントは永久的に使えるものではありません。乳房インプラントを入れると、破裂や、その他の合併症(拘縮、胸の痛み)、美容の問題(左右差、形やサイズの不満、しわ、破れ)による追加手術が生涯必要になるでしょう。
認可済インプラントの合併症発生率についてはこちらをご覧ください。
<http://www.fda.gov/cdrh/breastimplants/labeling.html>
乳房インプラントの破裂による影響についてはまだ全てわかっていませんが、つぎのような原因で破裂することがわかっています。
- 移植中やその他の手術によるダメージから起こるもの
- インプラント外膜のしわや、ひだから起こるもの
- 外傷や胸への過度の圧力によるもの
- マンモグラフィ検査時の加圧によるもの
- 乳房インプラントが破裂したら自分ではどのように気付きますか?
生理食塩水乳房インプラントが破裂すると、医師や患者さん自身で気付きます。生理食塩水乳房インプラントが破裂すると、収縮し、直後から2〜3日の間に生理食塩水が身体に漏れ出します。そうすると、患者さん自身がインプラントのサイズやかたちの変化に気付くでしょう。
シリコンジェル乳房インプラントが破裂しても、医師や患者さん自身で気付くことはほとんどありません。これを無症候性破裂といいます。患者さんや医師が気付くことがないため、移植から3年後、そしてその後2年毎にMRIスクリーニング検査をすることが勧められています。しかし、インプラント周囲にこぶや腫れ物ができたとき、胸やインプラントのサイズや形に変化があったとき、痛み、うずき、腫れ、硬化、熱をもっているとき等にはご自身で気付くことがあります。
- 乳房インプラントが破裂したら取り出さないといけないのですか?
メンター社とアラガン社のシリコンジェル乳房インプラント患者用詳細説明書では、破裂したインプラントは除去するように勧めています。詳細は、認可乳房インプラント商品詳細説明をご覧ください。
<http://www.fda.gov/cdrh/breastimplants/labeling.html>
破裂したインプラントを除去するかどうかは、患者さんや医師が決定します。
- シリコン乳房インプラント内のプラチナは身体に害を及ぼしますか?
プラチナはシリコンジェル乳房インプラントの外膜とジェルの製造に使われる金属です。FDAではプラチナの科学文献を十分に調査しました。現存する文献からFDAは、インプラントの外膜とジェルに含まれるプラチナは無酸化状態、つまり身体への危険性は極めて低いとの認識を示しています。これは、生物的適合性テストやジェルブリードテスト、そして臨床データからも証明されています。
FDAでは乳房インプラントに関する文献を引き続き調査し、プラチナやその他の安全性に見落としがないかを調べています。詳細は、FDAシリコンジェル乳房インプラント内プラチナの背景説明をご覧ください。<http://www.fda.gov/cdrh/breastimplants/platinum.html>
- 乳房インプラントを入れるかどうかを決める際にどのようなことを考慮しなければいけませんか?
次のことをよく考慮してください。
- 乳房インプラントは永久的には使えません。合併症の発生や、美容的な不満から胸への追加手術が必要となるでしょう。
- 移植後の胸への変化の多くはやり直しがききません。もし、移植したインプラントを除去し代替品を入れなくても、あなたの胸は移植手術前のようには戻りません。生涯、くぼみや縮み、しわやその他の美容的変化が起きるかもしれません。
- インプラントを交換(修正)すると、合併症の起きる可能性は1度目の移植手術より高くなります。
- 乳癌検査のためのマンモグラムの操作が困難になります。
- 母乳の量が減るなど、授乳能力に影響があるかもしれません。
シリコンジェル乳房インプラントの場合は次のこともよく考慮してください。
- シリコンジェル乳房インプラントが破裂しても、患者さんには何の徴候もありません。これを無症候性破裂といいます。ほとんどの場合、患者さん自身や医師が破裂に気づくことはありません。
- シリコンジェル乳房インプラントが破裂したかどうかを調べる最もよい方法は、MRIスクリーニング検査です。最初の手術から3年後、その後2年毎にMRI検査を受けるとよいでしょう。
- MRIスクリーニング検査を生涯続けると、その費用は、手術そのものの費用より高くなることがあります。その費用は保険がきかないでしょう。
その他の考慮点に関しては、認可乳房インプラント商品詳細説明をご覧ください。
<http://www.fda.gov/cdrh/breastimplants/labeling.html>
- “gummy bear (グミ)”ジェル乳房インプラントとは何ですか?
“gummy bear (グミ)”ジェル乳房インプラントと呼ばれる乳房インプラントは、かたちを維持するためより硬いシリコンジェルが使われています。現在のところ、“グミ”ジェル乳房インプラントはメンター社とアラガン社の行う治験でのみ使われています。企業への問い合わせ先はこちらをご覧ください。
<http://www.fda.gov/cdrh/breastimplants/addsources.html>
※gummy bear:くまの形をしたグミ。アメリカの一般的なお菓子。
- 乳房インプラントの不具合はどのように報告すればよいですか?
もしあなたが治験の参加者で乳房インプラントに不具合が起これば、かかりつけの医師に報告することはとても重要です。そうすれば医師は適切な処置をするでしょう。また、医師も治験上のデータとして問題点を報告するでしょう。
もし、販売の認可が下りている乳房インプラントに不具合が起きた場合、医師に報告し、医師はFDAにその報告をしなければなりません。もしくは、あなた自身で電話<1-800-332-1088>やMedWatch
<http://www.fda.gov/medwatch/report/consumer/consumer.htm>(FDA医療品安全性情報レポートシステム)を使ってFDAに報告することもできます。患者さんや医師がFDAのMedWatchに報告した問題事項はデータベースに保管され、フォローが必要かどうかの安全性を観察されます。患者さん自身でFDAに報告した場合、FDAから受け取り通知が返送されます。もし追加説明が必要であればFDAから連絡があることがあります。記録として、医師やあなた自身の報告内容を残しておくことをおすすめします。
- どこで、そしてどのようにシリコンジェル乳房インプラントの有害事象報告を読むことができますか?
MedWatchで個々の報告を読むことができます。“Medical Device Reporting,” “Access to FDA Safety Data,” “Manufacturer and User Facility Device Experience Database (MAUDE) へアクセスしてください。
要約報告プログラムを通じて提出された報告は、FDAウェブサイト内、FOI(Freedom of Information Act)の項目で読むことができます。または、FOIへのファックス(301-443-1726)や郵便(Food and Drug Administration, FOI Staff, HFI-35, 5600 Fishers Lane, Rockville, MD 20857)でも取り寄せることができます。
- なぜ企業は乳房インプラント個々のMedical Device Reporting (MDRレポート)ではなく要約報告を保存するのですか?
有害事象の報告には、要約報告という、よく知られていて、よくまとめられた報告の方法があります。これはシリコンジェル乳房インプラントと生理食塩水乳房インプラントの報告に長年使われています。要約報告は分析調査やより効率のよい手続きが、FDAや企業に求められる事象に使われます。
また、企業は予想しにくいまれに起こる乳房インプラントの有害事象MDRレポートをすべて保存するように要求されています。特に死亡は必ず個々に報告しなければいけません。
- 乳房インプラント製造会社に対してFDAではどのような指導をしていますか?
FDAは企業に対し、FDAの考え方の説明や、勧告するための指導文書を発行しています。ガイドラインは企業にとっても役立つものですが、法的な要求ができるものではなく、勧告もそれによって対処しなければいけないという義務や要求を課すものではありません。指導文書の多くで、どのように製品をテストすればいいか助言されています。他にも、どのように申請の準備をすればよいか、そして商品が市場に出たらFDAがそれをどのように監視しているかも書かれています。
FDAは、乳房インプラントに関する、“生理食塩水・シリコンジェル 新しい乳房インプラント”という指導文書を発行しました。そこには、乳房インプラントの安全性と有効性が正当に認められるかを判断するために、乳房インプラント会社がインプラント認可申請時にFDAに提出しなければならない情報が書かれています。乳房インプラント指導文書の最新版は、2004年に2度行われた専門家のパネルミーティングから得た50を超える意見をもとに、そしてFDAの2社のシリコンジェル乳房インプラントの調査をもとに2006年11月に発行されました。この指導書はこちらで見ることができます。
<http://www.fda.gov/cdrh/ode/guidance/1239.pdf>
- FDAがアラガン社とメンター社の製造する乳房インプラントを認可した時の基準は何ですか?
販売見込み認可時の科学情報は、アラガン社とメンター社の製造したシリコンジェル乳房インプラントは安全で有効であることを正当に証明しており、女性が移植を受けるかどうかを考慮する際に十分な情報を提供できます。
FDAは次のことに基づき認可を決定しました。
- メンター社の3年分のコア研究データ、アラガン社の4年分のコア研究データの調査
- Adjunct Studies(再建手術や修正手術を受けた患者さんに公開されている研究)を含むその他の臨床情報、国際研究の調査
- 2社の治験データの調査
- シリコンジェル乳房インプラントに関する科学文献の調査
- FDAの品質システム条例(Quality System Regulation)
<http://www.fda.gov/cdrh/humfac/frqsr.html>に従ってインプラントが製造されているか
どうかを確認するため、製造施設を点検・検査
- 2003年10月、2005年4月に専門家パネル審議の実施
- 医療用具に関する法律
- メンター社とアラガン社製のシリコンジェル乳房インプラントを移植できるのはどんな人ですか?
メンター社とアラガン社のインプラントは次にあてはまる女性に認可されています。
- 全年齢の女性対象の乳房再建
- 初回再建術(癌や外傷、発育異常のため、胸の組織を除去した後の代替)
- 修正手術(再建術後の修正や改善)
- 22歳以上の女性対象の豊胸術
- 初回手術(胸のサイズの増大)
- 修正手術(豊胸術後の修正や改善)
- コア研究で最もよく起こった、アラガン社とメンター社製のシリコンジェル乳房インプラントの合併症は何ですか?
メンター社とアラガン社のコア研究で最もよく起こった合併症は、追加手術の必要性です。被膜拘縮もまた頻繁に起こった合併症の一つです。他には、インプラントの除去、胸の痛み、乳首の感覚の変化、左右差などが挙げられます。
両社のコア研究で、一つ以上の合併症が起こった女性もいました。また、追加手術後の合併症発生率は初めて手術をした女性よりも高いことがわかりました。各社のコア研究のデータの要約は認可乳房インプラント商品詳細説明書でご覧になれます。
<http://www.fda.gov/cdrh/breastimplants/labeling.html>
- コア研究では、破裂の割合やその時の身体への影響についてどんなことがわかりましたか?
破裂の割合や破裂による身体への影響はそれぞれのコア研究で特定されてきました。破裂の影響は、被膜内の破裂(ジェルがインプラント周辺の瘢痕組織被膜内に残存する)、被膜外ジェル(ジェルが被膜外に出るが、胸の組織内に残存)、ジェルの移動(ジェルが胸から移動する)そして臨床上の影響があります。
破裂の割合は、無徴候・無症候性の破裂を検査するために、MRIスクリーニングを行った患者さん(MRIコホート)、そして無症候性の破裂のためにMRI検査スクリーニング検査を行わなかった患者さんか(非MRIコホート)ら出された。
- メンター社のコア研究では、破裂の報告はすべてMRIコホートの患者さんのものであった。術後3年間の破裂の割合は、初回豊胸術後・0.5%、修正豊胸術後・7.7%、初回再建術後・0.9%、修正再建術後・0%であった。3年間で破裂や破裂の疑いがあるインプラントは8件であった。そのうち2件は除去され破裂が確認できたが、残りの6件はMRIけんさで破裂の疑いがあると診断されたものである。この8件のインプラントの内、4件は被膜内の破裂、4件は被膜外ジェル破裂であった。ジェルの移動はみられなかった。
- アラガン社のコア研究では、MRIコホートと非MRIコホートの両群の患者さんの破裂の報告があったMRIコホートの術後4年間の破裂の割合は、初回豊胸術後・2.7%、修正豊胸術後・4.0%、初回再建術後・0%、修正再建術後・0%であった。非MRIコホートでは初回豊胸術後1件、修正豊胸術後1件、初回再建術後0件、修正再建術後1件であった。4年間の全研究を通して、合計9名の患者さんのインプラントに破裂が確認された。そのうち5件は除去され破裂が確認できたが、残りの4件はMRI検査で破裂の疑いがあると診断されたものである。この9件のインプラントすべては被膜内の破裂、1件は破裂を確認するための検査手術後、被膜内破裂から被膜外ジェル破裂へと発展した。ジェルの移動はみられなかった。
FDAが、破裂の割合と破裂の影響(被膜内破裂、被膜外ジェル、ジェルの移動、破裂の身体への影響)について調べるため、広範囲にわたり入手できる限りのすべての臨床・前臨床データを調査したことを知るのはとても重要なことです。コア研究は破裂の種類を特定付けるためだけのものではありません。各社のSSED(Summary of Safety and Effectiveness Date:安全性と有効性データの要約)の詳細はこちらをご覧ください。
メンター社のSSED <http://www.fda.gov/cdrh/pdf3/p030053.html>
アラガン社のSSED < http://www.fda.gov/cdrh/pdf2/P020056b.pdf >
- FDAはインプラントをどのような条件で認可したのですか?
FDAは2社に次のことを要求しています。
- 長期間におけるインプラントの臨床有用性を確かめるために、すべての患者さんに対し10年間コア研究を続ける。研究内容は、
- 毎年医師から研究データを収集する。
- すべての患者さんに隔年MRI検査を受けてもらう。
- インプラント除去後代替品を入れなかったすべての患者さんを10年間観察する。
- 認可後調査を10年間実施する。研究内容は、
- シリコンジェル乳房インプラントを入れた患者さんおよそ40,000人を対象とする。
- 生理食塩水乳房インプラントを入れた患者さんの管理グループも対象とする。
- 次のような情報を提供すること。局所の合併症の起こる割合、膠原病とそれらの徴候
が現れる割合、神経の疾病とそれらの徴候が現れる割合、インプラントを入れた女性の
子供への潜在的な影響、生殖や授乳への潜在的な影響、癌の発生する割合、自殺者の
割合、マンモグラフィ検査への潜在的な影響、MRI検査への影響、破裂の割合。
- インターネットやメール、電話を使って患者さんにアンケートを行う。
- 局所の合併症に関するデータを集めるために、メンター社の製品は1・4-6・9-10年目に、
アラガン社の製品は1・4・10年目に医師に意見調査を行う。
- 除去されたインプラントの不具合の様態と原因をさらに特定するため、10年間実験研究を続ける。
- 認可された患者用商品詳細説明書の内容や形式のグループ研究をするための独立したグループを編成する。
- 正式な決断へのプロセスとしてシリコンジェル乳房インプラントの移植を考えている女性に患者用商品詳細説明書を配布し、患者さんたちがきちんと危険性と有効性を理解しているかを確認する。
- Adjunct Studiesへの新しい患者さんの参加を禁止し、現在参加している患者さんの最終5年間のフォローを続ける。
- インプラントを扱う医師には、2社による医師トレーニングプログラムの参加を義務付ける。
- FDAは、インプラントが製造され、移植されるまでの一連の記録を2社に義務付けています。この医療用具記録の目的は、インプラントがどのように流通し、誰に移植されたかをきちんと2社に把握させるためある。記録された情報は、インプラントが身体に深刻な悪影響を与えることがわかった場合などに、FDAの指示によりリコールや通知を届けるために使われることがあるかもしれません。記録が義務付けられている情報に関しての詳細は、Medical Device Tracking (医療用具記録)をご覧ください。
<http://www.fda.gov/cdrh/devadvice/353.html>
認可5年後と10年後、そしてFDAが必要だと判断したときに、認可条件の最新情報を知らせるために、公開パネルミーティングを実施します。
- シリコンジェル乳房インプラントが安全なものなのであれば、なぜ広範囲にわたる認可後調査を要求しているのですか?
メンター社とアラガン社のインプラント認可のためのデータは十分あり、FDAはその安全性や有効性を証明しましたが、FDAは今後も2社にインプラント手術を受けた女性40,000人を術後10年間フォローさせ、安全性や有効性の研究を監視していきます。この大掛かりな調査から、長期の局所の合併症の発生、膠原病とそれらの徴候の発生、神経の疾病とそれらの徴候の発生、子孫、生殖や授乳、癌の発生、自殺、マンモグラフィ検査、MRI検査、破裂等に関するデータを収集します。
- もし認可後調査で、認可前にわからなかった問題を発見したらどうするのですか?
認可後調査で認可前にわからなかった問題や新しい危険性を発見した場合、FDAは問題に適した処理を要求できます。製造企業に対し、患者用・医師用詳細説明書の変更、記録システムを通してすべての患者さんへの連絡等も要求します。
- FDAはアラガン社とメンター社が認可後調査をきちんと遂行しているかをどのように保証するのですか?
アラガン社とメンター社が認可後調査を遂行しているかどうかを保証するために、FDAは下記のことを行います。
- 新電子観察システムによる認可後調査の記録
- 認可後調査内容をいつどのように報告するかのガイドラインの発行
- FDAウェブサイト上で研究過程を一般公開
- 認可5年後と10年後、そしてFDAが必要だと判断したとき(認可後調査から重要なことがわかった場合など)に、研究過程報告のパネルミーティングを一般向けに実施
翻 訳: 株式会社 総見
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